夏が来る
つい最近まで桜が咲いていて、史上稀に見る10連休があっという間に通り過ぎ、梅雨はまだ来ていないが、夏の予感を感じる今日この頃。
気温だけでなく、今、手元にある洗濯した後、数時間放置してしまった洗濯物たちがほのかに匂っていて、それもまた夏が近づいていることを感じさせる。この時ばかりは冬が恋しくなる。
昔は夏が嫌いだった。それは子供の頃や10代の頃の話になるのだけれど、私が育ったのは北国で、そこは夏なんて一瞬しかないような場所だった。
だからなのか、学校は冬に対しての寒さ対策は入念なのに、夏の暑さに対しては対応が雑だった。公立の学校だからということもあるかもしれないけれど。冷房設備が整っておらず、夏は図書館以外めちゃくちゃ暑かった。
特に高校時代。夏は一瞬と言っても、代謝が盛んな10代が40人ほど、教室というほぼ密室に閉じ込められると、サウナかな、っていうくらいの熱気になる。
夏休みに入るまではまだまし。しかし、夏休み中は毎年補習があり、出席しなければならなかったので、1年で最も暑い時期を冷房なしで授業を受けなければならなかった。
1年で考えれば、ほんの少しの間なのだ。しかし、夏休みの期間だけは、北国でも本格的な夏になっていて、絶対に冷房があった方がいい気候だ。
そんな状態では授業どころではなくなる。配られたプリントも汗で体にくっついてくる。
私にとって10代までの夏のイメージはそんな感じでとても印象が悪かったわけだ。
その後、大学進学のために関東に来てからは、冷房がない場所なんて無い状態だし、いたるところに涼める場所があって、夏は過ごしやすくなった。辛い状況を改善するための方法が存在しているだけで夏への印象が変わる。
それに、年をとって、代謝が落ちてくると冬の寒さが辛くなってくる。それに伴ってなのか、夏へ向かって暖かくなっていく感じに体が喜ぶようになった気がする。
その一方、真夏のあっつい日が来てしまうと今度は、これからどんどん寒くなり、日も短くなっていく予感がして切ない気持ちになってしまう。
だから、この夏に向かって、気温が上がっていき、日もどんどん伸びていく、梅雨前の爽やかな今の時期が、一番ワクワクしてテンション高めで生きられる。夏への不思議な期待感だけで楽しい気分になれる。
何かイベントなどの予定がある訳でも無いし、夏のボーナスが待っているわけでも無い。何かあるとしたら、アイスコーヒーと冷たいビールが美味しい季節がやってくるということだけ。でもそれだけで楽しい気持ちになれるのってなんだか贅沢だ。