どっちで運用するのがいい?サブドメインとサブディレクトリ
自宅で仕事をするようになってからというものの、身支度という概念を失いかけていたので、半年ぶりに髪を切りに行ってきました。
その時に、いつも担当してくれている美容師さんから、美容室のホームページ(担当の美容師さんが自分で作成している)についての相談を受けました。
美容師さん「一般のお客さんには美容室の求人情報は不要なので、美容室のサイト本体とは分けて(サブドメイン)作ったのだけど、サイト本体の中(サブディレクトリ)に作った方がいいんですかね?」
サブディレクトリとサブドメインについてのお話です。
目次
もともと美容室本体のサイトは既に作成済みで、今回求人情報を追加したとのこと。
そもそもサブドメイン・サブディレクトリとは何なのか、確認しておきましょう。
メインサイトがabc.comの場合
サブドメインとは:メインサイトから独立して運用することが可能。
例 : def.abc.com (defがサブドメイン)
サブディレクトリとは:
例 : abc.com/def (defがサブディレクトリ)
かつお「一般的にはサブディレクトリで作ることが多いと思うんですけど、求人情報をどうしても分けたいならサブドメインで作ることになりますよね。」
美容師さん「レンタルサーバの担当の人に、サイト本体とは分けてページを作りたいって相談したらサブドメインを作ることを勧められんだけど、SEO的にどうなのかなって。他の美容室のサイトを見てみるとサブディレクトリで作られているものばかりだから、うちもそうした方がいいんですかね?」
どうやらSEOとサイト構成との兼ね合いでお悩みの様子。
美容師さん「でも公開2週間でもう〇☓△(割と主要な検索ワード)の上位5位に入るようになったので、このままでもいい気がしているというのもあるんですよね。こんなに簡単なら他にもページ増やしちゃおうかなって。」
かつお「(ん?公開2週間で?特に対策もしてないのに?そんな上位に来るのが難しそうなワードで?これってひょっとして・・・)」
自分のブラウザで上位表示されている=ランキング上位 ではない!
そう、自分のブラウザ上での閲覧履歴が表示されてしまっていて単に上位に表示されているように見えているだけなのではないか?と思ったのです。
当然自分のブラウザで上位に表示されているだけでは他の人が見たときに上位に表示されているということにはなりません。
ランキングツールを使用したり、他の人のブラウザで確認したりするという方法が考えられますが、最も手軽なのは自分のブラウザのシークレットモードで確認するという方法です。
Chromeのシークレットモードは下図から開くことが出来ます。
とりあえずページを随時増やしていくならサブディレクトリ推奨
かつお「サブドメインを使うと別サイト扱いになってその度にアナリティクスを設置することになるし、ページが増えすぎた時に管理しにくいと思いますよ。それと、美容室本体のサイトと美容室の求人のサイトは関連性がないわけではないので、一つのサイトにまとめた方が良いと思います。
サイトを統合したことによりコンテンツが充実するので美容室本体のサイトのSEO効果も高くなる可能性もありそうです。」
美容師さん「分けた方がいいと言う人と分けない方がいいと言う人がいて、どうするか決めかねているんですよね。もう少し調べてみます。ありがとうございました。」
SEO最適化しようとして、結局のところどちらを選択すればいいか決めかねるという事態は制作の現場でたびたび発生します。
今回かつおはサブディレクトリを推奨しましたが、どちらかに決定的な否定要因がないのであればそこまでシビアに考えずに、サイト管理者の意向で自由に作っていくということで良いと思います。
サイト管理者が求人情報を分けた方がユーザにより良いと思えば、それが正しいことにして公開してしまいましょう。
また、googleはサブディレクトリとサブドメインについてSEOの観点からの相違はないと公式に発言しています。
あれこれ悩むよりも、まずは伝えたい情報が正しく伝わる状況にしておくことが大切だと思います。
運用しながら問題があればその都度改善していきましょう。
分析・改善こそが満場一致のSEOの基本です。
サブドメインとサブディレクトリ
さて、美容師さんとこのような会話のやり取りがあったわけですが、この会話は会計後に見送りしていただいている時に行われていたので、次のお客さんも来ているし延々とは続けられない事情がありました。
なのでランキングのくだりはしっかりと説明できなかったのが心残りなわけです。
けれども正直なところ、美容師さんが「ランキング上位に表示されてるwwwやってやるぜえ!」というモチベーションで今後も更新をガンガンしていくとしたら、そっちのほうがSEO対策としても有効なのです。
・・・なんてことを思いながら、
くれぐれもブラウザ履歴による上位検索表示にはご注意ください。
と伝えるのはまた半年後。
追記
半年経ちましたが、身支度という概念を失っておりまだ美容師さんにお会いできていません。
それよりもサブディレクトリを推奨する姿勢のみでこの記事を書いてしまったので、サブドメインのメリットを追記しておこうと思います。
SEOはその時代の検索エンジンの性能や思想に基づいて最適解が決定されますので、その点について考えてみましょう。
検索エンジンの考え方
検索エンジンはコンテンツを集合的に理解します。
集合的とは、そのサイト内に設けられた並列カテゴリの関連性や、カテゴリ内のコンテンツの網羅性などのことを意味します。
例えば、図書館で資料を探す場合を考えましょう。
カツオの生態について調べたい場合、おそらくその答えは「生物学」の棚のどこかで見つかるでしょう。
そして、「生物学」の棚に「生態」という見出しが設けられていれば、まずはそこを探すべきですね。
また、カツオの生態を知りたいような人は、実はハマチの生態も知りたいという場合が考えられます。
そしてハマチの生態の情報は今目の前にある棚にある可能性が高いはずです。
このように、直接的に求めている情報がどこにあるかを判断しやすく、類似の情報についてもその近辺にまとめられているような状態は集合的であり、検索エンジンに評価されやすいサイト構造となります。
検索エンジンはユーザの探し物の答えを提供したいわけですから、その答えになるであろうサイトであると検索エンジンに認識されなければなりません。
そのためには、何について書かれているサイトなのかというテーマがはっきりしている方がSEOに強いということになります。
検索エンジンにどう判断してもらうか
そのサイトが何について書かれているかを判断されるには、ある程度のコンテンツ量が必要になるかと思います。
例えば、サイト運営開始時にカテゴリを一つ作ったとします。
しかしそのサイトの実態は今一つだけ作ったカテゴリの専門サイトではないはずです。
運営を続けるにつれカテゴリが増えていき、どのようなカテゴリ群が存在しているかということによって、そのサイトのテーマが第三者から見て判断可能な状態になります。
よって、検索エンジンに適切な判断・評価をしてもらうためには、ある程度のコンテンツ量が必要となるのですが、ここで一つ問題があります。
それはコンテンツを増やすと、そのコンテンツによってはサイトのテーマがぶれるということです。
サイトのテーマと一貫しないコンテンツを提供するならサブドメイン
サブドメインで作ったサイトは、母体となるサイトとは別のサイトとして扱われます。
コンテンツの関連性がない情報を提供したいような場合には、サブドメインを利用した方が良いでしょう。
これによりメインサイトのテーマのぶれを防ぐことができます。
また、別サイト扱いとは言えど、サブドメインで作ったサイトのurlにはメインサイトのドメインが含まれますので、メインサイトのブランディングという観点でもプラスに働くはずです。
またメインサイトになんらかの障害が発生した場合に、サブドメインのサイトにも必ずしも障害が発生するとは限りません。
あまり大規模なサイトでない限り考慮するような場合はないかもしれませんが、障害リスク分散という観点ではサブディレクトリよりもサブドメインの方が優れています。
しかし、サイトをSSL化する場合、SSLの証明書はサブドメイン毎に発行しなければなりません。
SSLの証明書発行費用は、その認証レベルに度合いによりピンかりキリまであります。詳しくはこちらを参考にしてください。
サブディレクトリとサブドメインの追記のまとめ
サブディレクトリとサブドメインのどちらを選択するかに関して、SEO上の有利・不利はありませんので、それほどシビアに考える必要はありません。
とはいってもサブディレクトリで構成する方が手軽だと思いますので、コンテンツが充実していないサイト運営初期段階ではサブディレクトリでサイトを構成すると良いかと思います。
コンテンツが充実し、他のサービスの展開などを検討する必要が出てきた時にはサブドメインの利用を検討すると良いでしょう。
ちなみに、サブディレクトリ・サブドメインのどちらにも属さないURLパラメータによる方法もありますが、詳しくはこちらを参考にしてください。
美容師さんのサイトが結局どのような運用になっているか気になるところもありますので、そろそろお話を聞きにいきたいと思います。
それではこれにて。